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2003年東京交通新聞掲載記事

 

2003年東京交通新聞掲載記事

2015/11/24 マイルド・ハイブリッド・タクシー

2003年 東京交通新聞掲載原稿
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マイルド・ハイブリッド・タクシー
アイドリングストップ効果絶大
代表取締役 : 桜井 武司
CO2削減へ加速

地球温暖化防止のための京都議定書は年内にも発効する見通しだ。行政・産業界でも、CO2削減に向けた本格的な動きが加速している。タクシー事業関係では、5月に国土交通省、環境省、資源エネルギー庁、警察庁が合同で「エコドライブ普及連絡会」を発足、自動車のエコドライブで2010年までに270万㌧のCO2削減を目指し、アイドリングストップなどの具体的削減策の検討に入っている。
東京都は2002年、環境確保条例でタクシー事業者に対し、運転者がアイドリングストップを順守するよう適切な措置を講じることを義務付け、今年5月、実施の協力要請書を東旅協に出した。
タクシーの場合、事故費削減と併せ、燃費向上は事業上最大課題の一つで、努力は払われているが、アイドリングストップに関しては、ほとんど実行されていないのが実情。理由は①エアコンが効かなくなる②時期によって窓が曇りすぐに発車できなくなる③無線機やライトなど使用を続けてバッテリーがあがってしまったらエンジンの再始動ができなかった----という乗務員のエンジンを止めることへの潜在的な不安感にある。
タクシー乗務員は、休憩、仮眠は車内で取るのが普通で、時には2~3時間も寝てしまうことがある。この間、エンジン(エアコン)はかけっぱなしだ。走行中、信号や踏切で、エンジンを止めることは実車・空車を問わず、まずありえない。春・秋の快適な短期間を除きエアコンは乗務員・乗客に不可欠な装備で、乗客サービスの観点や労働環境上からも、エアコンを止めて乗客待ちしなさいとは言えない。
弊社川越営業所でアイドリングストップ装置付きクラウンコンフォートを3台使用しているが、エンジン停止でエアコンも効かなくなり、乗務員はほとんど回避操作して使っている。4月(エアコンの要らない時期)にできるだけ装置を活用するよう指導したところ、約11%の保持㌔改善が見られたが、これからクーラーの必要な夏に向かって実行はほとんど期待できないのが実情だ。
これらの問題を一気に解決し、事業者として「適切な措置を講じた」ことになり、タクシーにとって完璧なアイドリングストップシステムが昨年11月、クラウンに搭載されたマイルド・ハイブリッド・システムである。同システムは乗務員は何の操作もせず、例え信号変わりめの1秒のアイドリングストップでも機械が正確に面倒がらずON/OFFし、乗務員には全くストレスがかからない。真夏炎天下の駅前待機中でも、つい3時間仮眠してしまってもエアコンは常時作動し、必要に応じてエンジンが始動して充電する。
このシステムを早急にタクシーのLPG仕様車に開発・装着してもらうため、ユーザーである事業者がメーカーに強く要望することが必要だが、残念ながら大部分のタクシー事業者はハイブリッドシステムへの関心はほとんどない。プリウスをみても、高くて複雑で耐久性がないからタクシーには全然使えないという先入観を持っているようで、アイドリングストップが1日に何時間もできるはずがないと思い込んでいる節がある。

データ収集への実験

そこで弊社の練馬区の本社と川越市の営業所にクラウン・マイルド・ハイブリッドを各1台導入し実際の営業で使用した場合、どのくらいの時間をアイドリングストップされるのか、実証実験した。データを事業者に開示し、同システムの有効性を認識し関心を高めてもらうと同時にメーカーにデータや情報を提供し、タクシー車両への早期装着を実現してもらうことが目的だ。
【実証実験方法】(1)クラウン・マイルド・ハイブリッドは車両価格も高くガソリン仕様で、採算性や燃費消費量、保持㌔(㌔/㍑)をタクシー車両と比較しても意味がないので、単純にアイドリングストップした時間のみを計測。
(2)データの計測、記録にはミナト矢崎サービスの協力で、タクシーに装着したことのないデジタル・タコメーターを装着し、次のデータを計測。①ICカード挿入時間②同取り出し時間③同装着時間④走行時間(時速5㌔以上)⑤走行距離⑥イグニッションONの時間(食事などでキーを抜いた時間除く)⑦エンジン稼働時間⑧同停止時間(アイドリングストップ時間)⑨エコランプ点灯時間
(3)エンジンが稼働か、停止かを見るため、タコグラフの第4針で表示。これにより乗務員がアイドリングストップを嫌って意図的に回避操作をした場合、車両が長時間停止しているのにエンジンが止まっていない状態や、時間帯によるアイドリングストップの回数や状態が一目でわかる。
(4)乗務員や日によって、営業形態が大幅に異なり、アイドリングストップ時間も大きく差が出るので、今回、本社・川越営業所の担当者を決めた試用では、データに多少の偏りが見られる。
(5)LPG仕様タクシー車両のアイドリング、1時間当たりLPG消費量は1.2㍑(東旅協整備マニュアル)。
【実証実験結果・東京のケース】東京都内の一般の流し営業では、3~5月は、1日当たり4.14時間から7.30時間ほどのアイドリングストップが可能であると実証された。3月4日~5月16日(67乗務)の1日平均アイドリングストップ時間は5.23時間だった。LPGタクシー車両で5.23時間アイドリングストップされると6.276㍑(5.23×1.2)のLPGが削減できる。弊社の1日台当たりLPG使用量は4月で53.1㍑だったことから、11.82%(6.276÷53.1)の削減となる。
ただ今回の実証運転を担当した乗務員2人は走り回る営収トップクラスで、付け待ちタイプの乗務員が混ざれば、5.23時間が6時間に近づくか超えるかもしれない。仮に6時間とすれば13.56%(7.2÷53.1)の削減となる。昨年夏に省エネセンターが実施したアイドリングストップ2002日本縦断キャラバンで測定された「都市部で13.4%の削減効果」に近い数値となる。
【実証実験結果・川越のケース】川越の場合、タコグラフにはっきり表れている通り流し営業はほとんどなく、無線配車と駅付けの営業で、東京と比較して格段に待ち時間が長い。21時間の営業時間の中で、待ち時間と食事・休憩を含めた停車時間10時間を超える。今回の試用で10時間近いアイドリングストップ時間が実証されると期待されたが、実際にはそこまでストップしなかった。理由はタコグラフの第4針で分かる通り駅で30分、40分と待つ場合、少しずつ前に詰めるため頻繁にエンジンのON/OFFが繰り返されるためだ。
川越の担当乗務員2人は走行距離・営収ともに上から3分の1くらいに位置する。3月4日~5月19日(61.5乗務)の1日平均アイドリングストップ時間は6.76時間だった。LPG削減量に換算すると、8.112㍑(6.76×1.2)となる。弊社4月の1日台当たりLPG使用料は40.6㍑だったため、19.98%(8.112÷40.6)の削減となる。

早期装着の要望を

以上の実験から、アイドリングでいかに多くのLPGを無駄に捨てていたかが分かる。事業者は経費節減面からも、地球温暖化防止面でも早急にタクシー車両へのマイルド・ハイブリッド・システムの装着を各メーカーに要望すべきと考える。各メーカーにおいては同システムがタクシーに装着されれば4~6年の代替期間中(2010年ころまで)には全国のタクシーが切り替わり、一般自家用乗用車に換算すれば、恐らく150万台程度もの、マイルドハイブリッド車の普及に相当するCO2削減効果が期待できる。社会的意義も考慮し早期装着を決断願いたいものだ。

 
【2003年6月9日:東京交通新聞掲載原稿】